先日、ターミナルケアという所でもお話しましたが、西洋医学と東洋医学という二つの分野は最近少しづつ融合し始めてきています。
科学が目覚ましく発展している現在において、西洋医学が絶対的存在になっていますが、私は実際はそうではないなと考えています。
これは私が鍼灸師だから思っているわけではなく、鍼灸師になる前から思っていました。
西洋医学というのは万能ではなく、絶対でもないのです。
西洋医学と東洋医学と言うのは、まず並列に並べるものではなく、どっちが優れているとかどっちが劣っているという話ではないんだと思います。
まず、哲学からして根本的に違いますし、考え方も違います。
西洋医学というのは目に見えるものに変化があるものを病としています。
例えば、レントゲンに移るものは病だが写らないものには対応できない。
異常はあれど数値に現れないものはわからない、顕微鏡で覗いても変化がないものはわからない。
解剖学や生理学があって、その中の異常を病理学で学び、それに対する治療を行うのが西洋医学です。
つまり、変化があるものに対応するという考え方が根本にあるので、基本的には対処療法になります。
東洋医学というのは、目に見えないものをベースにしています。
陰陽論と五行論という、全てのものは陰と陽に分けられ、また、木火土金水と言う五つの要素に分けられるという哲学にはじまり、気血津液なんて言われるのですが、人の体は気と血と津液(透明な体液=水分)からなっており、そのどこかに異常があれば体に変調をきたすと考えられています。
目に見えないため、その状況を様々な部分から探り出そうとします。
有名なのは脈です。
手首の脈を見る事によってどの部分にどんな変化が現れているかを探ります、その他には舌であったり、その人の顔色や肌質、生活上の問題点など様々な情報を得た上で想像し対応します。
そのため、本人では気付かない症状やその後に起こるであろう症状も分かって来るために、良く「未病を治す」と言われます。
病は自覚症状がある前から始まっていてその状態を未病と言い、未病の状態を治すことで病を起こさせなくする。
簡単に言うとボディケアですよね。
以前にもどこかで書きましたが、人の体をパソコンだとします。
ディスプレイが映らなくなったとします。
西洋医学ではディスプレイの故障の原因を調べ、ウイルスチェックや部品も壊れていなければわからないとなってしまいます。
東洋医学では、ディスプレイを写すためのシステムに異常がないかを調べます。
西洋医学では物理的に損傷がないものはわからないとなってしまいますし、東洋医学では物理的に損傷のあるものは対処できない場合もあるのです。
お互いに得手不得手があり、考え方が違うのです。
それでも今は東洋医学には保険も効きませんし、実際には医師の方が西洋医学的知識も豊富ですし目で見て一発でわかる場合もあるので信頼度は高くなっています。
私も感染症にかかったりすれば、明らかに西洋医学の方が得意分野なのでお医者さんに行きますし、レントゲンとらないと危険な場合は患者さんにレントゲンを撮ってから来ていただく場合もあります。
しかし、腰痛や肩こりといった慢性疾患に対してはお医者さんの方が鍼灸院に良くいらっしゃいますし、疲れやすいとか原因がわからないものの相談を受けることもあります。
昔の医師や鍼灸師はお互いに信用し合わない部分も多かったと思います。
歯医者で麻酔をするのが嫌だから、痛くても麻酔なしでやって欲しいという鍼灸師も見たことがありますし、鍼灸なんてまやかしだから金の無駄と言っている医師も見たことがあります。
良く、鍼灸院ってどれくらいの頻度で通ったらいいのですか?と聞かれます。
それは症状によっても違いますし、目的によっても違います。
当院に来ている患者さんの状況ですと、週に1〜2回いらっしゃる方が多いです。
たまに期間をあけてこられるのですが、やはり体調を考えると毎週来た方が体調が良いと言っていただけています。
しかし、お財布の面を考えるとやはり難しいと思う方は多いと思うのですが、症状がキツくなければ2週に1度とか月に1度という方もたくさんいます。
一番多いのは2週に1度と言うペースの方で、たまに体調がすぐれないと別でいらっしゃる感じですね。
鍼灸というものがどうしても腰痛や肩こりというものの為にある治療だと言う固定観念が根付いてしまっているので、鍼灸院側も腰痛治ります、肩こり治りますと宣伝してしまいます。
でも、本来はその腰痛や肩こりになる原因を治す方がメインなのですよ(笑)
標治と言う言葉があり、実感できる症状をとると言う考え方なのですが、根本を治すものを本治と言います。
根っこをなんとかしなければ上に生えている草は一時的には無くなってもどんどん生えてくるものなのです。
腰痛や肩こりに関しては実感も早いので、治るとまた痛くなるまで針はいらないやと思ってしまう方も多いのと、西洋医学的に薬飲んで治ればオッケーって思ってしまうのは同じものなのかなって思ってしまいます。
西洋医学でも症状は無くなっても体の中にまだ細菌がいたりする場合はくすりは飲み続けなければいけませんし、東洋医学でも実感する痛みがなくなっても、根本は治ってなかったりするのです。
似ていないようで実は似ている西洋医学と東洋医学。
うまく使ってみてくださいね。