先日見てきた【君たちはどう生きるか】のレビューが予想通り真っ二つに分かれていますね。
では、なんでここまで意見が分かれるのかを簡単に書いてみます。
ネタバレなしなのでご安心を。
映画にもいろんな種類があるのですが、宮崎駿の映画の「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」というのは、例えると本で言う『絵本』なんですよね。
子供が見ても楽しめて、ただただ見ててもストーリーが分かりやすくラストも爽快。
それに対してこの『君たちはどう生きるか』というのは推理小説みたいなものなんですよ。
宮崎駿さんの映画って回を重ねるごとに考えないとわからない内容が増えていって、この映画でそれが極まった感があります。
例えば、千と千尋の神隠しなんかはどうして食べ物をたべた両親は豚になったのに、千尋は豚にならないの?とか、あの世界はなんなの?とか、どうしてハクと千尋はお互いを知っていたの?とか、千尋の母は何で千尋に冷たいの?とか・・・
色々説明されていないことがありますよね?
ハウルの動く城なんかもそうです、特にハウルの動く城のラストシーンでお城の下をたくさんの戦闘機が飛んでいます。
ぱっと見あれは「戦争が終わって戦闘機が国に帰っていくシーン」に見えますが、あれは本当は「せっかく平和が訪れたのに、人間はまた戦争を始めた」シーンなのです(これは製作陣が公式に発表しています)。
戦争が終わったシーンなら、したの街並みは爆撃跡などで壊れていなくてはいけません。
しかし緑豊かな地面の上を飛んでいるということは、平和な街並みに上をこれから戦争を始める戦闘機が飛んでいく。
しかしソフィとハウル達はもうそれに関与することはなく彼らは幸せに暮らしましたというシーンです。
ちなみに、この時すでにソフィは「魔女」になっています。
こうやって、実は色々と映画の表面のストーリーでは説明されていないことを読み解く様になっていくのですが、まだここら辺の映画は「考える絵本」くらいの内容なんですよね。
でも、君たちはどう生きるかに関しては完全に推理小説になっているんです。
だから子供が見ても全然意味がわからない。
しかも全ての謎が解明されないので、全部解明されないとモヤモヤが残るという人にしてみれば「つまらない」となってしまうんです。
ここで、「ジブリなのに子供が楽しめない映画を作るのはおかしい」という人がいますが、ジブリが子供が楽しめる映画を作らなくてはいけないなんていう決まりはありません。
ジブリ映画は子供が楽しめるはずと勝手に思っているだけです。
今回のこの映画は多分スポンサーなどが一切ついていないんだと思います。
なので、宣伝をする必要もない、だから自分たちの好き勝手に作れる。
宮崎駿さんが自分が描きたいアニメを自分の最後の作品として(毎度やめるやめる詐欺はありますが)作ったものだと思います。
それは内容を見て考えればわかると思うんですね。
このご時世本当の意味で内容が一切わからないまま見れる映画なんて作れないと思うんです。
それをこの作品はやってのけた。
それだけでも前情報一切なしで見にいく価値はあると思います。
しかし、子供が楽しめる内容ではない、むしろ小学生以下だと怖いと思います。
それでもいいという方は夏休みに見てみるのもいいと思います。
大人の方は、見た後に「どういう話だったのか考えるのが好き」という方は本当に前情報一切なしで見にいくといいかもしれませんね!