庵野秀明さんの作品が好きで、シン・エヴァンゲリオン、シン・ゴジラと見てきたのですが、今回シン・ウルトラマンが公開されましたね。
庵野さんの作品はいろんなところにいろんな謎解きがあるので、見たことのない方が内容を先に知ってしまうと後悔しか残らないと思うんです(笑)
なので、今回はネタバレがあるものとないものを分けて書こうかなと思っています。
ネタバレなしの感想から。
シン・ゴジラの時って結構内容が現代風にアレンジされていたのですが、このシン・ウルトラマンは表面上は結構ちゃんとウルトラマンしています。
ただ、子供が見て内容を理解できかと言うと厳しいなと思うのと、子供向けにマイルドな表現になっていないので、ひょっとしたら怖いのではないかなと思います。
なので、対象年齢は中学生以上な気がします。
細かな設定というかストーリーは元祖ウルトラマンとは結構違うのですが、ウルトラマンを知っている人と知らない人で内容がかなり変わるなというのと、ウルトラマンをざっくりと知っている人とめっちゃ好きな人でも評価が分かれるかと思います。
私はウルトラマンは覚えてはいないですが概要はわかっていて、そこに庵野テイストがどこまで入っているのかなという観点から見ているのでとても楽しかったです。
この映画はネットや人の評価で見に行くのではなく、自分が見たいかどうか、その結果どう思ったのかを自分自身で噛み締めるのが一番良いのではないかと思います。
ちなみに私は二回見ました。
始めはざっとストーリーを楽しんで、その後復習をして、もう一度。
マニアック派の人でも二回ちゃんと見れば伏線もしっかりわかると思いますよ。
ここからネタバレが始まります。
※※※※※※※※※※※ ネタバレ注意 ※※※※※※※※※※※
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まず、私の個人的な感想として、元祖ウルトラマンとシン・ウルトラマンで何が一番違うかというと・・・
【ウルトラマンは正義の味方ではない】ということ。
これが一番大きいというか、概念を変えてきたと思うところです。
そして、これはシン・エヴァンゲリオンやシン・ゴジラと共通しているのですが、この三作品と来年公開されるシン仮面ライダーは世界線が繋がっているっぽいです。
シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースですね。
元々、エヴァンゲリオンというのは【不思議の海のナディア】と少し繋がっています。
そしてヱヴァンゲリヲンとシン・エヴァンゲリオンの方は実はウルトラマンが背後に隠れていると言われています。
ここらへんのことを書くと膨大な文になるので、簡単に書くと不思議の海のナディアは古代アトランティス人のお話です、古代アトランティス人はM78星雲からきたと言う設定です。
シン・エヴァのアダムスの画像をよく見てください、胸にカラータイマーのようなものがついていますよね。
実はこのアダムスというのはウルトラマンであるという説があるのです。
今回のシン・ウルトラマンでも冒頭赤い球に乗ってウルトラマンが飛来しますよね?
原作でも同じ、赤い球と青い球が地球に落ちてきます、赤い球にはウルトラマンが、青いたまには怪獣が乗っています。
エヴァでも白き月にはリリスが、黒き月にはアダムスが・・・・・・・・
設定が同じなんですよね、この元ネタがあるから庵野さんのシン・ウルトラマンが楽しみにされていたんです。
①今回のウルトラマンの設定
今回のウルトラマンは先にも書きましたが正義の味方ではありません。
そもそもウルトラマンが地球に来た理由は人類を助けるためではありません。
ウルトラマンというのは【地球の傍観者であり裁定者】なんです、ただし今回は禍威獣ネロンガによって(正確には地球人以外の手によって)地球が危機を迎えているので地球を守るために現れたのがウルトラマン。
守るべきは人間ではないんです。
しかし、自分が地球に来て禍威獣ネロンガと闘うさなか、自分の起こした爆風によって主人公である神永新二が爆風から子供を守って死んでしまいます(原作でも同じようにウルトラマンが誤ってハヤタ隊員を殺してしまいます)。
「自分の命を投げ打ってでも子供の命を救った人間に興味があった」から神永新二の体と融合して地球で活動するようになったんです。
人間を守りたかったのではなく人間の思考に興味があったからというのがポイントです。
そこから本を読み漁り、禍特隊のメンバーと行動を共にし、外星人としての外星人なりの友情を構築します。
物語後半でとある人物に「君が私に協力しなければ禍特隊の命の保証はできない」と脅されるのですが、『それなら私は全人類を抹殺する』と言います。
このやりとりに今回のウルトラマンの思考がかなり現れているのです。
②禍威獣とか外星人って何?
まず、この映画の面白いところは放送当時のウルトラマンのオマージュから始まります。
マーブル模様がどんどん変化して「ウルトラQ」と言うタイトルが出て、そのタイトルが割れて「ウルトラマン」と言うタイトルに変わるのが当時のタイトルらしいのですが、そのウルトラQの部分が「シン・ゴジラ」と出てから「シン・ウルトラマン」に変わります。
このウルトラQというのはウルトラマンの前のお話なんですね。
そこに出てきた怪獣が今回も紹介されます。
巨大不明生物「ゴメス」
巨大不明生物第2号「マンモスフラワー」
巨大不明生物第3号「ペギラ」
敵性大型生物第4号 飛翔禍威獣「ラルゲユウス」
敵性大型生物第5号 溶解禍威獣「カイゲル」
敵性大型生物第6号 放射性物質捕食禍威獣「パゴス」
ここまではウルトラマンなしで戦ってきたんですね。
この1-5号までと6号以降の禍威獣には明確な違いがあるんです。
1-5号は自然発生した禍威獣。
面白いのはこの一番目のゴメスというのがシン・ゴジラにそっくりなんです。
つまり、シン・ゴジラのあとの話であることを暗に示唆しているんですね、実は当時のウルトラマンのゴメスも当時のゴジラの着ぐるみをアレンジしてそのまま使っているみたいです。
なので、シン・ウルトラマンもシン・ゴジラそっくりのゴメスなんです。
実はこの6号のパゴス、7号のネロンガ、8号のガボラには共通点があります。
この三つは自然発生した禍威獣ではなく古代の生物兵器だったようです、外星人が持ち込んだ古代の生物兵器。
つまり、禍威獣というのは自然発生した生物だったり生物兵器のことを指し、地球人以外の生物のことを外星人と言っています。
第1の事件のネロンガと第2の事件のガボラは禍威獣による事件。
第3の事件のザラブ星人、第4の事件のメフィラス星人、第5の事件のゾーフィは全て外星人のお話なんですね。
このシン・ウルトラマンの中での外星人は全て地球人よりもかなり科学の発展した上位の存在として出てきます。
③外星人の目的
このシンウルトラマンの話の面白いところは、下手すると現実でも起こりうる話を現実でも起こりうる展開で描いているところです。
第3の事件のザラブ星人は圧倒的な科学力を見せつけることで、自分と契約すれば他国に対して優位に立てますよと不平等契約を持ちかけます、もちろん日本政府はまんまと騙されて契約します。
そして偽ウルトラマンに変身し街を破壊したりしてウルトラマンは守ってくれない敵で自分が味方と嘘をつき、ウルトラマン抹殺計画を提案します。
しかし、実は世界各国で同じような言葉を使い、国家同士で争わせ地球人のみを殲滅するのが目的です。
どうしてそんなことをするのかっていうと、それがザラブ星人の仕事だからです。
第4の事件のメフィラス星人は地球と人間が欲しいというのが目的です。
ウルトラマンが神永新二と融合したことで、地球人もベータカプセルという装置を使えばウルトラマンのように巨大化し、強靭な体になれるという証明をしてしまったのです。
そんな人間は生物兵器として利用をできるということでメフィラス星人は人類を管理したいのです。
なので、メフィラス星人の持っているベータボックスという装置を人間にあげる代わりに人間の上位概念(つまり神)としてメフィラス星人を認めて欲しいという契約を迫ります。
本心は生物兵器としていつでも利用できる等に管理したいのです。
核に変わる安全な生物兵器を提供する代わりに人間を自由に使わせろってことですね。
第5の事件のゾーフィは昔のゾフィーです。
つまりウルトラマンと同じ光の国の外星人。
地球人が光の星の外星人のように進化をし、巨大化できるようになった場合に宇宙にとっても脅威になると判断します。
そりゃそうですよね、現時点で多国間で争ってばかりなんですから。
その繁殖力と凶暴性が宇宙の脅威になると判断し、ゼットンで地球を太陽系ごと破壊しようとします。
この三つを見ると、シン・ウルトラマンという話は現時点で地球内の生態系の頂点だと思っている人間に対して圧倒的に上からの立場が出てきた場合にどうするのかというお話なんです。
そして、ウルトラマン自身も正義の味方でも人間の味方でもなく外星人。
自分が情を持った禍特隊の味方とでもいうのですかね。
④ゾーフィについて
第5の事件で出てくるゾーフィ。
なんでゾフィーじゃないの?っていう疑問があります。
ゾフィーというのはウルトラ兄弟の長男なんですよね、原作でも最終話で出てきます。
ポスターに書いてある「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」というのはゾフィーの言葉です。
なので、ゾフィーが出てくるのではないかという噂は前からありました、そして、米津玄師さんの主題歌「M八七」が出た時点でほぼ確信になったようです。
実はウルトラマンって本当はM87星雲の宇宙人だったという設定だったらしいんですよ(今はM78星雲)。
それが脚本の誤植でM87がM78になってしまった。
しかし、ゾフィーの必殺技はそこにこだわり「M87光線」っていうんです。
この「M八七」という曲のタイトルは庵野さんと一緒に考えたと言います。
つまり、この時点でゾフィーが出てくるという示唆がされ、この歌詞もゾフィー視点なのではないかと考えられます。
【痛みを知るただ一人であれ】
地球人と融合して地球人の痛みを知る一人であれとウルトラマンに言っているゾフィーの言葉ではないでしょうかね?
でも出てきたのはゾーフィ(笑)
実は、ウルトラマン最終話をリークした昔の児童書があり、そこが「宇宙人ゾーフィが出てきてゼットンを使って大暴れ」と言う誤情報が出回ったんだそうです。
実際は宇宙恐竜ゼットンは彼ら自身は弱いゼットン星人が持ってきたもので、ゾフィーは関係ないんです。
その誤植のゾーフィとゾーフィがゼットンを使って大暴れというのを現実にしちゃったのがゾーフィなんです(笑)
ゾーフィが金色に黒のラインの体をしているのは、ウルトラマンのデザインをした成田さんの【ウルトラマン神変】をゾーフィのデザインにしたそうです。
⑤カラータイマーのないウルトラマン
実はカラータイマーというのは後から大人の事情で付けられたもので、本来のデザインにはなかったみたいです。
成田さんはこのカラータイマーが大嫌いで自分の描くウルトラマンにはカラータイマーを描かなかったと言います。
今回のシン・ウルトラマンにカラータイマーがないのはそのためです。
しかし、それを補うかのようにウルトラマンの体の赤いラインがエネルギー消耗によって緑色に変化します。
これも実は元々の設定としてウルトラ警備隊でない光の国の人は体のラインが緑色であるという元設定があります。
なので、ただの光の国の人になっていくという意味でエネルギー消耗をすると緑に変わっていくようです。
⑥原作のオマージュ
第1の事件でネロンガを倒すために初めてウルトラマンが姿を現した時には全身銀色(赤いラインも銀色)のウルトラマンでした。
実は原作のウルトラマンは着ぐるみが2-3回変わっているんですって。
その一番最初のデザインの顔で、当時の白黒映像を表現したかのような色のないウルトラマンで登場し、神永新二と融合した後は2番目のデザインの赤いラインのウルトラマンに変わっているようです。
偽ウルトラマンと戦っている時にチョップがトサカに当たって本物のウルトラマンが痛がる様子も原作どおりで、着ぐるみに入っていた方が本当に痛かったのでしたアクションがそのまま使われていたそうです。
巨大まさみんも原作では巨大フジ隊員というお話があったそうです。
この巨大フジ隊員のエピソードはかなり初期の段階から話に入れたいと言う提案があったそうです。
よく「戦闘が古臭かった」なんて評価もシン・ウルトラマンのコメントで見るのですが、忘れてはいけないのは「空想特撮映画」ってことです。
CGを使った特撮映画っぽくしている映画なので、わざと昔の戦闘シーンを再現しているのですね。
なんてマニアックすぎる内容を書き連ねましたが、皆さんは楽しめましたでしょうか?
これを話すとかなりマニアックな感じに受け取られるのですが、実はそこまでウルトラマンに詳しいわけでもないんですよ。