昨年、鍼灸学校時代の同級生が鍼灸院をリニューアルオープンしたようで、その時の価格設定がわかりやすいなと思ってついでに当院との比較もしてみました。
【同級生の鍼灸院】
東京近郊の県の奥の方にあり、周りの価格設定は一回2500円程度。
同級生の治療院は30分4000円だった。
新しく店舗を移動し、駐車場のある物件に移動して60分6000円に変更。
比較的広めの物件でベッドは5つあり男女二人で営業している。
さて、この感じでリニューアルオープンしたのですが、地域価格としては価格設定としては結構高めの設定だそうです。
6000円だと東京の平均値くらいなので、近県としては高いのだそうな。
そして、ベッドが複数あるということは60分マンツーマンではなくて、一人目に鍼をして安静にしてもらっている間に二人目に鍼をして・・・というような一人で複数人の患者さんを対応する場合もあるという感じだと思います。
鍼灸師が2人なので5ベッドも必要ないですしね、もしかしたら鍼灸師を雇う予定があるのかもしれませんが、彼の鍼灸流派からするとマンツーマンではないのかなと。
こういう時に私たち鍼灸師側ではなく、鍼灸院を選ぶ場合はどうやって見るのでしょうか。
【鍼灸院の選び方】
以前も似たようなことを書いた気がすると思うのですが、鍼灸院というのは様々な種類があります。
大きく分けて「鍼を多く使うやり方」「鍼を少なく使うやり方」「部分的に鍼を使うやり方」で見分けるのがわかりやすいかなと思います。
症状によって選び方が違うと思うので、ご自身が何に悩んでいるのかによって見てみてくださいね。
・鍼を多く使うやり方
当院がこれに当たりますね。
中国鍼とか現代鍼とかいうやり方が多いです。
中国鍼の場合は気の通り道に列のように鍼を刺すので、一度の施術に100本くらい鍼を使ったりします。
本格的な中国鍼の場合は鍼の形も違う上に挿し方も違うので、私でもキツイなと思う様な刺す時のチクチクした痛みを感じます、ただし、「痛い鍼の方が効く」と考えている人も多いので、本場の中国では刺す方も刺される方も痛みを感じるから効いている!と思い、お互いにそれでOKな場合も多いです。
現代鍼の場合は気や経絡(気の通り道)、経穴(俗にいうツボ)よりも筋肉の緩みや痛みの緩和をとることに特化しているやり方です。
ここが痛い時にはここの筋肉に刺すという様なやり方が多く、鍼としては中国鍼ほどではありませんがしっかり目に鍼を刺す印象です。
当院の場合はこの中国鍼と現代鍼をミックスさせた我流(笑)のやり方で対応しております。
もちろん、中国鍼ではないので日本の痛くない鍼を使用しています。
個人的には腰痛や肩こり、トレーニングやスポーツなどの筋肉的なものが原因の痛みの場合はこちらのやり方がしっかり効く&効いた実感があると言うイメージですね。
・鍼を少なく使うやり方
経絡治療と言う「気の流れを整えることで改善する」と言う流派のやり方が多いです。
日本の古典鍼灸ですね。
同級生の鍼灸院もこのやり方です。
鍼灸師にもよるのですが、気の流れを整えることで改善すると言う考え方なので、考え方がちょっと独特です。
例えば、腰が痛いのですが「内臓に問題がある」と言う考えに基づいて鍼をする場合もあるために、実際に痛い腰にはあまり鍼をせずに腎のツボのある場所や、筋肉を司る肝のツボの場所、触診によってお腹に鍼をしたりする場合もあります(この辺は経絡治療の中でも細かい流派によって違います)。
流派によっては気の流れを整えつつ、痛みのある場所にしっかり鍼を入れたりもしますが、そこら辺を施術まえに知ることは難しいと思います。
これも個人的な見解なのですが、このやり方で腰痛が改善したと言う方もいれば、逆に「腰が痛いって言っているのに内臓が悪いと言われてお腹に鍼をしても。。。何も変わらなかった」と言う人もいます。
私は腰痛などは筋肉の過緊張によって起こっている事が多いと考えているので、経絡を整える前にまず緩めないと・・・と思うのですが、過緊張を起こしている原因は気の流れで・・・と言う様なコロンブスの卵論に発展してしまったりもします。
ただし、人によっては鍼を刺した時の重だるさなどが苦手だったり、冷え性や不妊などの内科的な症状の場合はこちらの方がよく効く場合も多いですね。
・部分的に鍼を使うやり方
これは痛い部分に鍼を刺す、全身ではなく痛い部分だけにやりましょうと言う考え方の鍼なので割愛しますね(笑)
まずはこんな感じでどのやり方が自分に合うのかなとやって見るのも手です。
これは鍼灸師ではない人がホームページなどから察するのは結構困難なためですね。
個人的には筋肉的な症状→鍼をしっかり刺すやり方。内科的な症状→鍼が少ない気を整えるやり方。
がいいのではないかなと思っています。
【鍼灸院の価格の違い】
一番判断しづらいのがこれだと思います。
まず、値段設定には参考にしやすいものがいくつかあります。
その中で一番大きいのが「場所代」、つまり家賃ですね。
都心の一等地になればなるほど家賃は高くなるので施術料も高くなります、この時に気をつけるのは必ずしも技術=価格ではない点です。
技術の金額って難しいんですよ、「本人が自分の技術をいくらで売ろうと思っているか」なので、他人が決めた価格ではないんです、もちろん実際の技術に比例している金額でもないんです。
なので、まずは場所を見る、そして施術時間を見る、最後に営業スタイルを見る。
これが大事。
巣鴨と麻布では価格が大きく違うのは当たり前ですよね、集まる人の量が違うのですからテナント料が数倍違います。
施術時間はしっかりみないとわからないかもしれません。
知人の治療院の様に『一回4000円』と書いてあって、その後に当院のページで『60分6800円』と書いてあった場合、片方は60分4000円、もう片方は60分6800円だと勘違いをします。
でも、実は同級生の元の治療院は30分4000円、実は当院も30分4000円で変わらないんです。
時間が長い方が必ずしも施術内容が良いとは言い切れませんが、鍼灸というものはマッサージと違い長ければ長いほど実感が湧くものではありません。
ただし「一人の患者さんに使う時間」と言う意味では時間が長い方がしっかりと対応してくれると言う事実も変わらないのです。
【鍼灸院で一人の患者さんに使う時間】
上記部分で最後に書いたこの部分。
実は結構大事なんです。
鍼灸院の営業スタイルっていうのは「複数対応」と「マンツーマン対応」に分かれるからです。
・複数人対応の鍼灸院
イメージとしては大手のマッサージ屋さんの様な院内になっています。
ベットがいくつか並んでいて、1台目の患者さんに鍼を刺したら「少し置いておきますねー」と言って2台目のベッドの患者さんに鍼を刺す、また「少し置いておきますねー」と言って3台目に・・・
という様にベルトコンベアー式みたいな感じというのでしょうか。
これを一人でやっているか複数人でやっているかでも違うのですが、うつ伏せで鍼をする→置いておく→抜く→仰向けで鍼をする→置いておく→抜く、というのをするのですが、実質みてもらっているのは鍼を刺す場面だけです。
こういうところの場合は多少安価になります。
・マンツーマン対応
上記の様なベッドが並んでいる鍼灸院もありますが、当院の様に完全に個室の場合もあります。
個人経営の鍼灸院の場合こちらが多いですね。
マンツーマンでも患者さんを多く取る場合は一つの部屋にベッドを二つにして着替えの時間とかは一つの部屋のカーテンの仕切られたベッドにそれぞれ患者さんがいるという場合もあります。
同級生の場合はマンツーマンなのですが、施術しゃが二人いるので同一の部屋に複数のベッドがあるパターンですが完全マンツーマンという感じでしょう。
当院の場合は完全に個室なので室内に2人の患者さんがいるということはありません。
マンツーマン対応のメリットは時間内はその人に集中してもらえるということですね、60分だとしたら60分は完全に自分だけを診てもらえます。
その反面、価格は複数人対応の鍼灸院に対して価格が上がります。
例えば60分の施術を8人にする場合、マンツーマンだと8時間必要で、複数人(2人)対応だと4時間で診れるという単純計算でもわかります。
当院の場合はここに「完全個室対応」と言う条件が入るので、60分の患者さんが来たとすると着替えの時間、お会計の時間を含めたりすると90分の時間を確保しないといけません、一つの室内に一人しか入れないことになるので。
そうなると必然的に1日に予約できる患者さんの数がもっと少なくなってしまいます。
当院は開業当時からこのやり方なのですが、現在の感染症のことも踏まえ基本的に患者さんが院内に複数人いることが感染対策的には良くないことだと考えているのもあり、この「完全個室性」というのを続けております。
他にも細かい点はいくつかあります。
例えば、鍼を多く使う鍼灸師の方が鍼代がかかるので割高になるとか、使い捨て鍼なのかなど・・・
ただし、基本的には以上の3点を踏まえて鍼灸院選びをしてみるといいかもしれませんね。
意外と時間単価というのは見逃しやすい部分なので、「一回いくら」ではなく「何分でいくら」に注目してみるのもいいかもしれません。