東洋医学というのは病気と言うものを、それだけを抜粋して考えずに一つの流れとして考えます。
例えば、喉が痛くてなんか熱っぽい。
西洋医学ではそう言われれば「風邪ですねー」と言う事で総合感冒薬と場合によっては抗生物質を出されるでしょう。
私がそれを聞くと、まず熱が実際にあるのかどうか、最近忙しいかどうか、さらに季節なども考慮して考えていきます。
症状があるから病気と言うわけではなかったりするのですね。
実際に発熱があれば風邪の可能性が高いです、その中で鼻水が黄色かったり、症状がきつい場合はお医者さんを進めますね。
ちなみに、鼻水は黄色くなると細菌感染をしている可能性が出てくるので、市販の薬ではなくお医者さんに行く方がいいです。
東洋医学では、風邪(ふうじゃ)が入り込んで熱を生じると鼻水が黄色くなると言う考え方なので・・・
私であればまず病院をお勧めし、その上で緩和としてや風邪を取り除く鍼をします。
しかし、実際に熱はなかったりすると、東洋医学でいう【肺陰虚】かなーなんて思ってくるのです。
肺は水の上源なんて言われるのですが、津液(透明な体液と言われます)を管理しているのが肺なんだそうです。
その肺が何かしらで水分を失う事によって体の内部に熱を持ち、水分が失われるので喉も痛むという感じです。
いろんな要素があって症状が起きると考えるのですね。
それでは、題名にある江戸っ子頑固オヤジ(そろそろ私もオヤジと言われる歳の江戸っ子なのですが)はどんな状態なのでしょうか。
まず、江戸っ子頑固オヤジは銭湯で熱い熱いお湯に入りますよね?もちろん私も熱いお湯が好きです。
人は産まれた時に腎に氣を宿して産まれます、その腎の氣は少しづつ消耗し、歳を重ねると量が減ってきます。
そうすると、だんだん体内の氣の量が少なくなってくるのですね。
腎の氣にも陽氣と陰氣があります、陽氣は体を温めたりエネルギーだったりするのです。
その氣が足りなくなってくるので、冷え性になってきたり暖かいものを好むようになってきます、なのでお湯もお茶もアツアツなものを好むのではないかななんて思っています。
そして、江戸っ子頑固オヤジは瞬間湯沸かし器なんて言われるように、突然頭に血が上ったりしてしまうイメージがあります(あくまでイメージです)。
以前にもどこかで書きましたが、腎と肝はバランスを取り合って気球みたいになっていて、肝は風船で腎は風船に付けてある籠みたいなイメージです。
肝にも陰氣と陽氣があり、どちらかというと陽氣が盛んな臓なのです。
肝の陽氣が旺盛になりすぎると一応肝の陰氣が引っ張って制御しますが・・・何せ陽が旺盛なので足りなくなります。
そうすると、肝は腎の氣を借りてこなくては制御できなくなるのです。
それが頑固オヤジの状態ですね。
ただでさえ歳と共に少なくなっている腎の氣を、さらに肝に借しているので足が冷えてしまいます。
腎は腰を司るので、腰も重だるくなり弱くなってきます。
肝は怒の感情を司るので、何かの拍子で起こってしまうと、一気に肝の陽氣はさらに活発化し頭まで陽氣が昇ります。
そうすると、てやんでい!べらんめい!と止まらなくなってしまうのですね。
腎の氣がまだ旺盛にあれば、怒りの感情が出てもちょっとまってと引き止めるのですが、止めるだけの量が足りないと瞬間湯沸かし器になってしまうのです。
お酒好きの江戸っ子だと、さらに肝に負担をかけているので尚更ですよね。
でも実は、この症状現代の皆様にはとても多い症状なのです。
上熱下寒・・・
足は冷えているのに上半身は火照る、女性の更年期などにも多い症状です。
現代の人はとにかく忙しくしています、忙しい人はエネルギーの源、ガソリンみたいな役割の腎の陰分をどんどん消費しています。
肝が旺盛になるというよりも、腎の陰分を使いすぎてしまうので肝が通常の状態でも陽気が上に上がってしまう。
そのほかにも、いつもストレスが多く我慢に我慢を重ねていると、怒の感情が発散できずに鬱滞します。
これを肝鬱というのですが、肝鬱の状態でも尚発散できなくなると火が生じます。
肝鬱化火なんていうのですが、ストレスが溜まりすぎて癇癪を起こしてしまうような状態ですね、同じように肝火が生じてしまっているので怒りが止まりません。
江戸っ子オヤジみたいに、歳を重ねて腎陰が足りなくなっているタイプの場合や、仕事のしすぎで腎陰が消耗している場合は、食事できちんと氣を補い、たくさん寝ることで腎陰を補います。
そのサポートを鍼やお灸でしていくことが多いですね。
疲れてくると「いつもはこんなことで怒らないのに」と言うことで怒ってしまったりとか、足は冷えるけど上半身は火照るとか、更年期で月経の不順があったりすると循環がうまくいかないので同じように火照ってしまう、部活で毎日毎日体力を消耗している学生という方はこんなタイプです。
そして、育児でストレスを抱えてしまっていたり、うまくストレスを発散できなかったり、上司や部下との関係に悩んでいるけどどうしてもうまくいかないなんて方は肝鬱のタイプです。
この方達はまずどこかでストレスを発散する方法を見つけることが最優先ですね。
もちろん、鍼灸院ではこういう方達の調整も行っています。
当院ではそのためにリラックスできる環境を作っていたりもします。
腰痛、肩こり、膝の痛み・・・・
そういう症状よりも、実はこう言った分野を得意としているのが鍼灸です。
人は生まれ持って腎が弱い人、肺が弱い人、肝を使いすぎてしまう人などがいます。
腎が弱いと虚弱体質気味だったり、中学生や高校生になっても夜尿が治らなかったりします。
肺が弱いと、肺は免疫機構に携わっていると言われるので、風邪をひきやすかったりアレルギー体質だったりします。
肝を使いすぎてしまうと、とにかく元気でスポーツも大好きなのですが、自分で制御できないのでエネルギーを消耗しすぎてしまいます。
そんな体質改善を行ったりもするのですね。
もちろんその延長上で腰痛は腎が弱っているからなのか、単に筋肉の疲労なのか、その両方で腰を痛めやすいのか・・・
などと考えます。
痛みに対しての効きが顕著なのでそこだけが目立ってしまうのですが、実は針灸は様々な調整を行っていく過程で痛みを抑えているのですね。